美術鑑定士が呟く、アートのあれこれ

1993年生。栃木県出身。美術鑑定士として都内で活動中です。

~スキニーファッションの革命児~エディ・スリマン

 

2000年初頭、空前のスキニーブームを巻き起こしたデザイナー。

 

エディ・スリマン

 

それまで主流だった「B系」と呼ばれるストリートスタイルのトレンドを

一瞬にして変えてしまった人物だ。

 

極限にまで細められた黒いスキニージーンズに、

丈の短いタイトなジャケット。

 

その様相は、まさに歴代のロックスターたちを思わせる。

 

 

 

 

エディのファッションスタイルには、

以下の3つのテーマがある。

 

1.細さ

2.グランジ

3.少年性

 

 

まず、1つめの「細さ」だが、

他のブランドに比べて、常軌を逸している。

 

肌に張り付いているような見た目からは、

ポジティブなイメージが浮かばない。

 

しかし、その「不健康さ」、「脆さ」こそが、

独特な魅力を発しているのだ。

 

 

 

次に、2つめに挙げた「グランジ」。

 

彼は元々グランジロックが好きで、その手のミュージシャンたちの

ファッションが、彼の感性に多大な影響を与えている。

 

訝し気で、少しグレているような雰囲気の中にも、

絶対に曲がることのない、強い芯が感じられるのだ。

 

「反骨精神」という反社会的精神が、グランジファッションの

軸となっているからかもしれない。

 

 

最後に3つめの「少年性」だが、

これは上記2つのテーマを複合して創られた、

彼の最も重要なテーマだ。

 

「脆さ」や「ネガティブ」。そして、

「反骨精神」と「強い信念」。

 

この2つは、成長過程で社会のあり方に疑問を持ち、

反抗期を迎えた少年を想像させる。

 

不安定な存在ではあるが、内に秘めた魂には、

何人も干渉できない芯があり、純粋さが潜んでいる。

 

そのネガティブとポジティブが絡み合う神秘的なイメージを、

エディ・スリマンはファッションによって具現化しているのだ。

 

 

 

2018年2月、彼は新たなステージを求めて「セリーヌ」の

クリエイティブ・イメージデザイナーに就任した。

 

 

次はどんな切り口から「少年性」を表現するのか。

今後も、彼の生み出すファッションスタイルに目が離せない。